渡辺 雅子(明治学院大学名誉教授)
はじめに
新型コロナウイルスという感染症の蔓延によって、これまでのような生活ができなくなった。そして世界がグローバルにつながっていることを如実に感じさせるものだった。コロナ禍はさまざまな規制や自粛によって人と人との関係のあり方に大きな影響を与えている。特に人と人とを分離・分断するものであることを強く感じる。2年経った今もその収束は見通せない。
この間、新宗教にとってもこれまで先送りされていた課題が明らかになり、その対応が迫られたと思う。人と人との対面での出会いが大きな役割を占め、宗教施設への参拝や行事や企画など、宗教活動では今避けるようにと言われている三密(密閉、密集、密接)が重要な役割を占めていた。宗教関係ばかりでなく、様々な場面で生活の細部にわたってライフスタイルの変更を余儀なくされた。
ここでは、まずコロナ禍の中で私自身が大学の授業をとおして感じ考えたこと、取り組んだことを述べ、そして新宗教に対する学生のイメージについてみていきたい。次いで、新宗教の調査研究を行っている者として、特に立正佼成会(以下、佼成会)の動向を注視してきたので、その取り組みを観察し、感じたこと、考えたことについて述べたい。