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「明日への提言」  バックナンバー: 2022年

コロナ禍で明らかになった課題と新宗教の取り組み

渡辺 雅子(明治学院大学名誉教授)

はじめに

 新型コロナウイルスという感染症の蔓延によって、これまでのような生活ができなくなった。そして世界がグローバルにつながっていることを如実に感じさせるものだった。コロナ禍はさまざまな規制や自粛によって人と人との関係のあり方に大きな影響を与えている。特に人と人とを分離・分断するものであることを強く感じる。2年経った今もその収束は見通せない。

 この間、新宗教にとってもこれまで先送りされていた課題が明らかになり、その対応が迫られたと思う。人と人との対面での出会いが大きな役割を占め、宗教施設への参拝や行事や企画など、宗教活動では今避けるようにと言われている三密(密閉、密集、密接)が重要な役割を占めていた。宗教関係ばかりでなく、様々な場面で生活の細部にわたってライフスタイルの変更を余儀なくされた。

 ここでは、まずコロナ禍の中で私自身が大学の授業をとおして感じ考えたこと、取り組んだことを述べ、そして新宗教に対する学生のイメージについてみていきたい。次いで、新宗教の調査研究を行っている者として、特に立正佼成会(以下、佼成会)の動向を注視してきたので、その取り組みを観察し、感じたこと、考えたことについて述べたい。

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現代の地域づくりを考える

北村 裕明(滋賀大学経済学部特任教授)

1.「おかえりモネ」の描く地域

 2021年度上半期のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」は、東日本大震災の被災地気仙沼で生まれ、震災を経験した主人公・永浦百音とその同級生達の物語であるが、現代日本の地域や地域づくりを考える視点を提供してくれている。

 ドラマは、主人公の百音が震災の際に仙台にいて、現地で対応できなかった悔いを抱きながら、高校卒業後気仙沼を離れ、登米の森林組合で働くところから始まる。そこで気象に関する専門的な知識が、地域の産業や防災に関係することを知り、気象予報士の資格を取得し、東京の気象情報サービス企業に勤め、経験を積む。そして、気象という専門性を生かして地域に貢献できるのではないかと思い、気仙沼に帰り、気象情報を利用した新たな仕事をおこす過程が描かれている。

 ドラマの中で、地域づくりという視点から見ると、いくつかの重要なことが描かれている。まず、産業が漁業と林業という潜在性はあるが困難を抱える地域で、「なりわい」を続ける強い意志を持った人々、百音の祖父でカキ養殖に携わる龍己や、森林組合長のサヤカの姿が印象的である。また、登米は、よそ者である百音を森林組合の職員として受け入れただけでなく、気象情報サービス企業のメンバーや研究者、森林体験や森林セラピーの事業を通じて多くの他地域の人々を受け入れている。気仙沼では、震災以降多くのボランティアの受け入れを経て、今でも都会の若者が地域で活動している。他地域の人々や若者の受け入れに寛容な地域の姿が描かれているのである。さらに、地域情報の交流と発信の場として、登米では、診療所とカフェを併設した森林組合が、気仙沼では震災を契機に立ち上がったコミュニティFM局が重要な役割を果たしている。市役所や町役場とは別に、民間ベースで地域情報を交流し発信する拠点があることが描かれている。そして、気象情報という専門性を生かして、漁業や林業を振興し、地域に根ざした防災対策を行う可能性が示されているのである。地域の資源を現代に生かすには、新しい知恵と知識が必要なのである。

 地域に根差して地域の振興を考え続ける人の存在、外部の人や若者を受け入れる寛容さ、地域づくりを行う情報交流や活動の民間の拠点、地域資源に新たな活用の方向を示す専門性は、今日の地域づくりにとって重要な要素である。「おかえりモネ」は、それらを的確に描き出し、今日の地域づくりの方向性を示しているとも言えるのである。

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