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「明日への提言」  バックナンバー: 2024年

移住について考える

平 修久(聖学院大学名誉教授)

1.はじめに

 住む場所によってできることが異なり、どこに住むかは人生の中で重要な事項である。人生を変える手段の一つとして移住がある。バブル崩壊、リーマンショックに加えて、コロナ感染症蔓延がプッシュ要因として移住を促してきた。

 国は、戦後、均衡ある国土の発展を目指し、全国総合開発計画を4回策定して、地方の開発を進めた。その後、国土形成計画を3回策定し、総合的かつ長期的な国土づくりの方向性を示してきた。第二次形成計画(2014)において、初めて「田園回帰」「地方移住」といった語句を用いて、ふるさとテレワーク、田舎探し、シニア世代の地方居住、地域おこし協力隊などの具体的施策を記述した。同年の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても、地方への移住促進が主要施策の一つとして位置付けられ、地方創生推進交付金の対象となった。施策の具体的方向として、地方への人材還流、地方での人材育成、地方の雇用対策が掲げられた。国民の間の移住の動きに便乗して、地方の停滞・衰退の解決策の一つとして、都市部から地方への移住を推進するようになった。しかしながら、言うまでもなく、移住するかしないかは各自の判断であり、我々は国や自治体の推進策を利用する立場にある。

 移住を文字通り「移り住む」ことと捉えると、地方から都市部への転入や業務命令による転勤・引っ越しも含まれるが、本稿では、自らの意志によって都市部から地方へ移り住むことを対象にする。筆者の2年半の移住体験を軸に、参考文献を交えて、移住者サイドと移住先サイドの両方の状況と両者の関係を論じたい。

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