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「明日への提言」  バックナンバー: 2010年

青少年健全育成に対する一考察~ダイニングキッチン(リビング)での教育~

川越淑江(教育評論家)

一 家族のものの暖かい心をはぐくむ場所

 人間がそこで生まれ、人間として育つところが家庭である。その家庭も今と昔では、ずいぶんと変化し、家族構成も複合家族から核家族に代わり、それに伴って家庭における教育も違ってきている。「家があっても家庭がない」といわれるまでになってきた。しかしいくら家族の構造や生活形態が変わっても、変わってならないのが、家庭の心であり、我が家の味だと思う。

 ともしび近くきい縫う母は 春の遊びの楽しさかたる 居並ぶ子どもは 指を折りつつ 日数数えて 喜びいさむ いろり火はとろとろ 外はふぶき

 という小学校唱歌がある。ここに出てくる「いろり」は殆ど見られなくなり、また、矩健は、茶の間に生活のなつかしい匂いを残しているが、矩健は家族の者が集い、冷えた身体を温めるばかりでなく、心も温めることが出来る場所である。

 生活構造の近代化により、家の構造も和式から洋式化され、「いろり」はダイニングキッチンヘと様変わりした。今ではダイニングキッチンはリビング(居間)を兼用する家庭が多くなったが、構造は変わってもそこに流れる家庭での味は変わらず持ち続けたいものである。家族の者にとってそこは大切な城であり、生活の砦であり、子どもを育てる場合でも、ダイニングは、重要な役割を果たすと思う。心の美しさ、やさしさは、理論では教えることは出来ない。毎日触れ合う心と心の響き合いのなかで育てられる。

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高齢者の健康と山菜の機能性

杉浦孝蔵 (東京農業大学名誉教授)

はじめに

 我が国の平均寿命は、男性79.29歳、女性86.05歳で今後も男女とも寿命が延びるとの見込みである。我が国は今日まさに超高齢社会になろうとしている。2010年の「高齢社会白書」によると、65歳以上は2,910万人で全体の22.7%を占め、また独り暮らしの高齢者が多く周囲との接点が乏しくお年寄りの孤立化が進行しているという。

 筆者は常日頃から高齢者には幼児と一緒に自然との触れ合いをすすめている。

高齢者の生活と健康

1高齢者とは 我が国では、65~74歳を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者としている。筆者は行政的取り扱いは別として高齢者とは暦年齢を問わず人々の日常生活現象の中で次の三つの観点から判断して考えるようにしている。

1)増加、増大するもの

①体のシミ、シワと白髪②薬量と通院③愚痴、お節介、忘却など。

2)減少するもの

①食欲、性欲②体力、頭髪③気力、思考力、生産力など。

3)喪失するもの

①新知識の理解力②生活に対.する適応力③朋友や同僚など。

 体のシミ、シワ、白髪、通院、薬量の増加、体力、頭髪の減少などは化粧品やエステテイックなどで、また、食欲、性欲の減少は生活、健康管理によって或る程度は増加、増大、減少、減退などを抑制することは可能であろう。また、気力、思考力、生産力や新知識の理解力、生活に対・する適応力などの喪失は一瞬にして現れるものではなく、徐々に見られる現象であるから、地域社会を通して他文化や異なる年齢間における対話、交流などによって喪失も抑制の可能性があると考える。

2高齢者の健康と生活 健康とは一般に達者、丈夫、壮健のことをいう。心身とも健やかで精神的、社会的に活動できる状態である。

 健康体の高齢者の日常生活は趣味や噌好によっていろいろあるが、フィットネスクラブ、カルチャーセンターなどの施設を活用して心身の鍛錬に努めたり、ボランティアなどの活動に取り組、み地域の環境や教育問題に貢献している方が多い。また、徳島県上勝町在住の70歳前後の高齢者が庭や裏山に生えている植物の葉、枝、花、実など季節に応じて採り農協へ出荷する彩(いろどり)による村おこし事業に取り組んでいる。日本料理に欠かせない自然が生んだ植物資源の活用である。

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明日を生きる~ささやかな進化のエッセイ~

小栗純子(中央学術研究所講師)

焦燥感にかられて

 新しい時代の流れについていけない、焦りと苛立ちを感じたことはないだろうか。

 私はことし65歳になるが、昭和から平成へと変わった頃から、変貌する時代の流れと自分の中のずれを、少しずつ感じるようになっていた。それから何年かすると、徐々に進んでいたIT化と国際化の流れに、私はすっかり取り残されていた。

 そのころ私は50歳であったが、親の介護や経済的な諸問題を抱え、毎日の仕事をこなすだけでいっぱいだった。ようやく生活が落ち着いたころには、還暦をすぎていた。時代は21世紀に入り、2006年になっていた。まずパソコンの使い方をきちんと学ぼうと考えた。この歳になって人に何か習うには勇気がいる。教える立場に長くいると、教えを受ける側にまわるのはかなり抵抗がある。ある日、思い切って地元の商店街のパソコン教室に飛びこんだ。そのころの私は、パソコンは原稿を書くだけのもので、ほとんど使い道を知らなかった。半年ほど週3日、ノートパソコンを持ちこんで教室に通い、色々な機能を学んだ。新しいことを学ぶのは、新鮮ではあった。しかし学んだことを、自分の暮らしや仕事にどのように取り入れたらよいかまだ分らなかった。

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世界文化遺産としての平泉―その今日的意味―

速水 侑(東海大学名誉教授)

平泉の世界文化漬産誉録再トライ

 昨年12月12日付『朝日新聞』は、文化庁が、奥州藤原三代によって築かれた平泉を「平泉一仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群」として世界遺産条約の文化遺産に推薦することを決めたと報じた。平泉は2008年にも登録申請したが、ユネスコの世界遺産委員会で登録延期と判断されていた。文化庁では今年1月に推薦書を世界遺産センターに提出し、2011年の登録を目指すという。また、再トライする今回の登録予定の文化遺産は前回の申請と異なり、中尊寺など浄土思想関連のものに絞り込む形になるようである。昨年来、私は平泉と天台浄土教の問題について幾度か触れることがあったが、ここでは世界文化遺産としての平泉の今日的意味を中心に述べてみたいと思う。

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