• HOME
  • 「明日への提言」

「明日への提言」  バックナンバー: 2023年

『祈りと瞑想のちから ~平行軸・斜め軸・垂直軸へ』前編

飛騨千光寺長老 大下大圓(沖縄大学客員教授/和歌山県立医科大学連携教授)

【瞑想への関心】

 近年、日本国内では瞑想の実践として「マインドフルネス(Mindfulness)が流行している。

 現在医療や精神医学の分野では「マインドフルネスストレス低減法:MBSR(Mindfulness-…Based Stress Reduction)、マインドフルネス認知療法:MCBT(Mindfulness-Based CognitiveTherapy)、アクセプタンス・コミットメントセラピー:ACT(Acceptance and Commitment Therapy)などが活用されている。

 現代のストレスリダクションやSOC(Sense of Coherence 首尾一貫感覚)など人間性を回復させるためのプログラムとして、瞑想の活用が注目を浴びている。瞑想が、人のストレスを軽減し、心身の機能を高め、精神安定や健康増進に有効であるということは、これまで多くの研究から明らかにされている。瞑想によって、抗炎症作用、免疫機能の活性化、鎮痛作用、喘息症状の緩和、うつ症状の緩和、認知症状の改善、心的外傷後ストレス障害の改善など、心身の改善ではがんの成長に関係するテロメラーゼ活性を有意に低下させた客観性の高い評価があり、健康長寿につながる可能性さえ示唆されている

続きを読む


臨床スピリチュアルケアの視点

伊藤 高章(立正佼成会附属佼成病院チャプレン)

 昨年4月より、立正佼成会附属佼成病院チャプレンの職をいただいている。また以前から大切にしている、がん医療に携わる医師・看護師・薬剤師・医療ソーシャルワーカー・心理士・作業療法士・理学療法士の方々との学びの機会を、継続している。臨床スピリチュアルケアという学問領域の研究を深め普及に努めるとともに、久々の臨床での実践に関わる日々である。

 昨今の日本では、スピリチュアリティをはじめとする「宗教」を連想させる領域について語ることが難しい。第二次大戦後の日本社会は、意図的にその言説を抑制してきた。宗教に関する議論が成熟していない感がある。そのため、世界保健機関 WHO が人間の健康を4側面(身体的 physical・心理的 mental・社会的 social・霊的 spiritual)から捉える姿勢を明確にしているが、日本社会ではこのスピリチュアルの座りが悪い。宗教やスピリチュアリティに関する全体的な議論は他に譲ることとし、ここでは医療やケアに関わる臨床スピリチュアリティについて考えてみたい。

続きを読む


ページTOPへ

COPYRIGHT © Chuo Academic Research Institute ALL RIGHTS RESERVED.